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まず、カラヤンについてあまり知らないという方のために少し説明しますと、カラヤンは20世紀を代表すると言っても過言ではない名指揮者なんです。
カラヤンのすごいところは、まずカリスマ性。統率力が格段にあるのです。 何十人もの団員の演奏をまとめるには指揮法だけでなく作曲家の想いとか・・音楽全般に対する深い理解が必要。人間的にも未熟ではとてもつとまりません。
そして、経営力みたいのも優れている。やはりいい人材を集めるには高待遇でないとだめです。そこで、膨大な数のレコーディングをし、世界中に売りまくったのです。その結果、団員の給与は上昇し、ステータスを求めるプレイヤーを世界中から自然に集めることに成功したのです(ただし、オーボエのシェレンベルガーなど、カラヤンの一本釣りもたまにあるが・・)。
カラヤンについては今現在までに数多くの書籍があり、あえてここで逐一ご紹介することは省略したいと思います。ここではカラヤンが晩年まで精力的に取り組んだ映像関係について少しご紹介したいと思います。

カラヤンは、早くから映像について非常に興味を示しており、すでに1960年代からベルリン・フィルやウィーン交響楽団とのレコーディングを映像として残している。だが当時はまだ、ビデオが普及していないためこの先行投資はリスクが高く、私財を投じたカラヤンは人生最大の財政危機に面したようだ。しかし、黄金時代のベルリン・フィルの最高の演奏を残した数々の映像は、まさに彼の生涯をかけた遺産なのだ。
特に、60年代後半から70年代に収録したドイツ・グラモフォンから発売されるベートーヴェン交響曲全集はカラヤン&ベルリン・フィルの黄金時代を象徴する作品と言えるだろう。
個人的には、この作品の演奏は他の全てのレコーディングをはるかに凌ぐ最高傑作であると思う。ライブ形式とスタジオ形式の2種類があるが、スタジオ形式については、演奏家がカメラチェンジごとにコロコロ変わり、映像的に切り貼り的な印象を与えるのはいただけないものであるが、演奏家は当時の黄金時代を支えるトッププレイヤーばかりであり、この中には現代最高のフルート奏者であるJ・ゴールウェイや邦人初のプレイヤーである土屋邦雄氏らの若き日の貴重な映像も見られるのは嬉しい限りである。

この交響曲全集のすばらしさはハイレベルな演奏だけではない。交響曲第3番「英雄」と第7番では、フランスの演出家フーゴ・ニーベリングによる度肝を抜く画期的演出があったのだ。オーケストラ団員を雛人形を乗せる雛壇のようなセットに放射線上に美しく配置し、カラヤンがその放射線の中心となるようにした。最上段はおそらく4m前後あったのではないだろうか。
どの位置からもカラヤンの指揮を容易に見ることができ、理想的な形ではないかと思う。映像を見る側としても新鮮味抜群であり、爽快感がある。
また、交響曲第6番「田園」では、なんと床が様々な蛍光色に変化するというもので、大変美しい。こちらは1960年代後半に作成されており、カラヤンの先見性を垣間見ることが出来る。
ベルリン・CCCフィルムスタジオでのベートーヴェン田園交響曲の収録(1967年)
1988年頃、この全集はまだLDではなく確かVHDだかビデオディスク(?)だかという形で売られていたような気がする。どうしてもこの全集を手に入れたくて、これを再生するプレイヤーを探し回り、秋葉原の石丸電気で見つけたのだが、LDが普及し始めた頃なので店員からは勧められなかった。が、翌年カラヤン死去後LDとして販売されることになったのでこれを購入した。
不幸中の幸いであった。
ただし、カラヤンは生前にこれだけは世に出さないでくれと懇願していたらしい。やはり切り貼り的な作りを気にしていたと思う。
なお、参考までに、カラヤンはこのベートーヴェン交響曲全集を再度80年代になって手兵ベルリン・フィルを使って収録し、SonyクラシカルからLDとして発売したが、こちらは映像は美しいものの、演奏はすでに・・・である。一応所有しているが、もう10年以上聴いていない。

カラヤンから絶大な信頼を受けていた元Sony会長の大賀典雄氏は89年7月16日、つまりカラヤンが他界したその日、死の直前までザルツブルク邸でカラヤンと最新の録音録画技術について話をしていたそうです。カラヤンの執事が「主治医が心電図を取りに来ました」と伝えるとカラヤンは「そんなものは後でよい、今もっと大事な話をしているので誰も入れるな」と言ったそうです。それから20分ぐらいして大賀氏の目の前で突然息を引き取られたのです(午後1時30分)。救急隊がヘリコプターで到着して必死の手当てをしましたが、息を取り戻すことはありませんでした。
そして、カラヤン家は誰にも相談することなく、翌日月曜の午後9時に遺言に従いカラヤンをアニフの教会の墓地に埋葬したのです。
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アニフにあるカラヤンの墓
安らかに・・・ |
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